「損料屋喜八郎始末控え」山本一力。
あかね空で直木賞を受賞した筆者のデビュー作です。
損料屋というのは、江戸時代のレンタル屋さんのことです。
江戸時代にもレンタル屋さんがあったのですね。
鍋釜、布団などを庶民にレンタルする職業でした。
江戸時代のレンタル屋さんに興味を持って読み始めたら、メインの中身はレンタルの話ではありませんでしたが、頭脳もキレ、刀もたつ、かっこいい男のストーリーでした。
侍の身分を上司の責めを肩代わりする形で捨て、損料屋に身をやつし、巨利を貪る札差と渡りあう喜八郎。
彼が立ち向かう、この札差という職業がどうもわかりにくいのですが、武士の俸給である「米」を市中で売却するときの仲買人です。事実は困窮、逼迫した武士たちに、次のあるいは2年後の俸禄米を担保に金を貸す、貸金業となっていたのでした。
喜八郎はその札差連を相手に、先を読んだ頭脳戦を展開し、いわば江戸時代のマネーゲームを戦い、問題を解決していきます。
ところどころにちりばめられた江戸の風情が美しく語られています。
最後の祭のシーンは、その賑わい、緊張感、音、空の様子、人々の様子がまるで映像を見ているように一コマづつ流れていきます。
まるで映画を見ているようなラストシーンに、感動し、しばし余韻に浸ったことでした。
TAMA
現代のレンタル屋 パソコンレンタルe-TAMAYA