「アラスカ物語」 新田次郎
初めて読んだ時、2,3ページ読んだだけで、この本が好きになりました。
何ともいえないワクワク感。
先に読み進めるのが楽しみなような、もったいないような。
普段は時のたつのが遅く感じる電車の中や、億劫で退屈な銀行の待ち時間が、本が読めるから嬉しいと感じる、そんな本でした。
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主人公は安田恭輔。
時は明治時代、彼は日本を飛び出しアメリカに渡って船員となります。そしてアラスカの北の北、北極圏で、ある事情のため、たった一人船を下り、放りだされることとなります。
極寒の中、苦難の末、エスキモーの村にたどりつきます。
そこで暮らすうち、彼自身エスキモーとなって、生涯をエスキモー民族のために尽くすという物語です。
本の表紙の星野道夫さんの写真がとても美しい。
星野道夫さんもアラスカで暮らし、北極熊に襲われ亡くなった写真家です。
その美しい表紙と折り込んである、アラスカ全体の地図、シャンダラー付近の地図、を見ながら読みました。
今ではテレビの映像でも頻繁にお目にかかれる怪しい光のオーロラ、
真っ白の氷原、ツンドラ地帯、湖沼、などなどですが、
読んでいくと、文字の間からその映像が鮮やかに浮かんできます。
エスキモー、(今はイヌイットとよばなくてはならないのでしょうが)その生活様式、民族様式、食はおよそ日本人とはちがいます。
生肉を主食とする彼らは、狩猟の達人ですが、自分達の必要とする以外はとりません。
が、白人達の乱獲によって、食糧不足は深刻となり
疫病も流行して、村を捨て移住しなくてはならなくなります。
安田恭輔はそんな彼らのために、金(きん)を探してお金を作り
インディアンと交渉して、安住の地を探しまわります。
アラスカのモーゼといわれ、生涯、日本に二度と帰ることがなかった、フランク安田の実話に基づいた話です。
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本を読むと、たいていその土地に行ってみたい、と思う私ですが
今回だけは・・・・遠慮したいです。
地球儀のてっぺん、
北極海の町!の話ですから。
TAMA